「不動産を売却したいけど、どれくらいの期間がかかるんだろう?」これは多くの売主が最初に抱く疑問です。

住み替え相続、資金調達など、不動産売却の理由は人それぞれですが、共通して気になるのは「いつ売れるのか」という点ではないでしょうか。

結論から言えば、不動産売却にかかる平均期間は3ヶ月~6ヶ月程度です。ただし、この数字はあくまで目安であり、物件の種類や立地、売り出し価格、そして市場の動向によって大きく変動します。場合によっては1ヶ月で売却できることもあれば、1年以上かかるケースも珍しくありません。

この記事では、不動産売却の平均期間について詳しく解説するとともに、売却が長引く原因や早く売るためのポイントまで、あなたの不動産売却を成功に導くための情報をお伝えします。

不動産売却にかかる平均期間の目安

不動産を売り出してから売買契約が成立するまでの平均期間は、3ヶ月~6ヶ月程度が一般的な目安となっています。ただし、この期間は物件の種類によって異なります。

物件種別ごとの平均売却期間

物件種別 平均売却期間
マンション 約3ヶ月
戸建て住宅 約6ヶ月

マンションが戸建てより早く売れる傾向にあるのは、価格の比較がしやすく、購入希望者が判断しやすいためです。一方、戸建て住宅は土地の形状や建物の状態など、個別性が高いため検討に時間がかかる傾向があります。

地域によっても売却期間は異なります。2024年のデータによると、首都圏における中古マンションの平均売却期間は97.3日と、全国平均よりも迅速に売却される傾向にあります。

これは購入需要が高いことが大きな要因です。一方、近畿圏(大阪府など)では約4.4~4.5ヶ月程度となっており、やや長めの期間を要しています。

また、売却方法の仲介と買取によっても期間は大きく変わります。

  • 仲介による売却:3ヶ月~半年程度
  • 買取による売却:約1ヶ月程度

仲介は市場価格で売却できる可能性がある反面、買い手が見つかるまで時間がかかります。買取は不動産会社が直接購入するため早いですが、価格は市場価格の7~8割程度になることが一般的です。あなたの状況に応じて、どちらの方法が適しているか検討することが大切です。

不動産売却の流れと各ステップの期間

不動産売却は複数のステップで構成されており、それぞれに一定の期間を要します。全体像を把握しておくことで、スケジュールを立てやすくなります。

査定依頼から媒介契約まで

売却の第一歩は、不動産会社への査定依頼です。この段階では、複数の不動産会社に査定を依頼し、適正な売却価格を把握することが重要です。

査定・相談から媒介契約の締結までは約1~2ヶ月を要します。この期間には、物件の査定、不動産会社との打ち合わせ、売却条件の決定などが含まれます。媒介契約の締結自体は契約依頼から3~5日程度で完了しますが、焦って決めるのは禁物です。

この段階でしっかりと準備を行うことが、その後の売却活動をスムーズに進めるポイントとなります。必要書類の確認や、物件の清掃・整理なども並行して進めておきましょう。

売却活動から売買契約まで

媒介契約を締結すると、いよいよ売却活動が始まります。不動産会社がポータルサイトへの掲載やチラシ配布などの営業活動を行い、購入希望者を募ります。

この売却活動期間は1ヶ月~6ヶ月ほど続きます。物件の条件や市場状況によっては、さらに長引く場合もあります。内覧対応は1回あたり平均30分程度で、成約まで平均5回前後行われるのが一般的です。

購入希望者が現れ、条件交渉がまとまれば売買契約へと進みます。契約決定から売買契約の締結までは1~3週間程度です。契約書の作成や重要事項説明の準備などが行われます。

決済・引渡しまで

売買契約が成立したら、最後のステップである決済・引渡しに向けた準備が始まります。売買契約から引き渡し・決済までは1~2ヶ月程度を要します。

この期間中、買主は住宅ローンの本審査を受け、売主は抵当権の抹消手続きや引っ越しの準備を進めます。決済日には残代金の受け取りと同時に、物件の鍵と権利証を買主に引き渡します。

なお、不動産を売却して利益が出た場合は確定申告が必要です。申告期間は引き渡した翌年の2月16日から3月15日までとなっていますので、忘れずに対応しましょう。

不動産売却が長引く主な原因

売却期間が想定より長引いてしまうケースは少なくありません。その原因を理解しておくことで、事前に対策を講じることができます。

1. 売り出し価格が相場より高い

売却が長引く最も多い原因は、売り出し価格が相場を大きく上回っていることです。「少しでも高く売りたい」という気持ちは理解できますが、相場とかけ離れた価格設定は購入希望者の出現を遅延させ、結果的に売却期間の延長につながります。

購入検討者は複数の物件を比較しています。同じエリア・条件の物件と比べて明らかに高い価格設定では、そもそも検討の候補にすら入らない可能性があります。適正な価格設定こそが、スムーズな売却への第一歩です。

2. 売却のタイミングが悪い

不動産市場には、売れやすい時期と売れにくい時期があります。一般的に春先(2月~4月)や秋口(9月~11月)は引っ越しシーズンと重なり、不動産需要が高まる傾向にあります。

逆に、真夏や年末年始は動きが鈍くなりがちです。また、景気動向や金利の変動など、マクロ経済の影響も受けます。需要が低い時期に売り出すと、同じ物件でも売却に時間がかかってしまうことがあります。

3. 不動産会社の選定ミス

意外と見落とされがちなのが、不動産会社選びの失敗です。営業活動が不十分な不動産会社を選定すると、物件の露出度が低くなり、購入希望者の目に触れる機会が減ってしまいます。

具体的には、ポータルサイトへの掲載内容が薄い、写真の質が低い、問い合わせへの対応が遅いなどの問題が挙げられます。

また、そのエリアや物件種別に強くない会社を選んでしまうと、効果的な販売戦略を立てられない場合もあります。

これらの要因に加えて、築年数が古い物件や利便性の悪いエリアに立地する場合は、売却完了まで1~2年程度かかるケースもあります。物件の特性を踏まえた現実的な見通しを持つことが大切です。

売却期間が長引くことで生じるデメリット

「いつか売れればいい」と悠長に構えていると、思わぬデメリットが生じる可能性があります。売却期間の長期化がもたらすリスクを理解しておきましょう。

市場価値の低下

売却期間が6ヶ月を超えると、その物件は市場で「在庫物件」と見なされるようになります。長期間売れ残っている物件に対して、購入検討者は「何か問題があるのでは?」という印象を持ちやすくなります。その結果、大幅な値下げを求められたり、そもそも検討の対象から外されたりするリスクが高まります。

維持費の増加

売却が完了するまで、あなたは引き続きその物件の所有者です。つまり、以下のような維持費を負担し続けなければなりません。

  • 固定資産税・都市計画税
  • マンションの場合は管理費・修繕積立金
  • 火災保険料
  • 戸建ての場合は庭の手入れや清掃費用

これらの費用は売却期間が延びるほど累積していきます。月々数万円だとしても、1年経てば数十万円の出費となり、経済的負担は決して小さくありません。

精神的な負担

見落とされがちですが、売却が長引くことによる精神的なストレスも無視できません。内覧のたびに期待と落胆を繰り返したり、「本当に売れるのだろうか」という不安を抱え続けたりすることは、想像以上に負担になります。住み替えや資金計画が進まないことへの焦りも生じるでしょう。

これらのデメリットを避けるためにも、適切な戦略を持って売却活動に臨むことが重要です。

不動産を早く売却するためのポイント

売却期間を短縮するためには、いくつかの重要なポイントがあります。ここでは、あなたが実践できる具体的な方法をご紹介します。

1. 適正価格で売り出す

早期売却の最も重要なポイントは、市場相場に基づいた適正価格での売り出しです。適正価格を把握するためには、複数の不動産会社から査定を受けることをおすすめします。

査定額は不動産会社によって差があります。高すぎる査定額を提示する会社は、契約を取りたいがために現実離れした価格を示している可能性もあります。複数の査定結果を比較し、その根拠を確認した上で、現実的な価格を設定しましょう。

少し低めの価格設定でスタートし、競争入札のような状況を作り出すという戦略も有効です。複数の購入希望者が現れることで、結果的に希望価格に近い金額で成約できるケースもあります。

2. 需要の高い時期を狙う

不動産需要は季節によって変動します。一般的に需要が高いとされるのは以下の時期です。

  • 春先(2月~4月):新年度に向けた引っ越し需要
  • 秋口(9月~11月):転勤シーズンや年内入居希望者

これらの時期に売却活動のピークを持ってこられるよう、逆算してスケジュールを組むと効果的です。例えば、春の需要期に向けて売り出すなら、前年の12月~1月頃から準備を始めるのが理想的でしょう。

3. 媒介契約の種類を見直す

媒介契約には「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類があります。それぞれに特徴がありますが、複数の不動産会社に依頼できる一般媒介契約は、より多くの露出機会を確保できるメリットがあります。

一方で、専任系の契約は不動産会社が責任を持って販売活動に取り組んでくれる傾向があります。物件の特性や状況に応じて、どの契約形態が最適かを検討することが大切です。売却がなかなか進まない場合は、契約の種類を変更することも選択肢の一つです。

売却期間が長引いたときの対処法

様々な努力をしても、売却期間が想定より長引いてしまうことはあります。そんなときは、現状を冷静に分析し、柔軟に対応策を講じることが重要です。

売却期間が長引いた場合の具体的な対処法

  • 売出価格の値下げを検討する:売り出してから2~3ヶ月経っても反応がない場合、価格設定を見直すタイミングです。5~10%程度の値下げで反応が変わることも多いです。
  • 物件の内覧環境を改善する:内覧時の印象は成約に大きく影響します。プロのハウスクリーニングを入れる、不要な家具を撤去してスッキリ見せる、気になる箇所を部分的にリフォームするなどの対策が有効です。
  • 異なる不動産会社への変更を検討する:現在の不動産会社の営業活動に不満がある場合は、契約期間満了のタイミングで他社への変更を検討しましょう。媒介契約の期間は通常3ヶ月なので、その区切りで見直すことができます。
  • 買取業者への売却に切り替える:どうしても早く現金化したい場合は、買取業者への売却という選択肢もあります。価格は市場価格より下がりますが、確実かつ迅速に売却できます。

対処法を検討する際は、「なぜ売れないのか」という原因分析が欠かせません。内覧はあるのに成約に至らないのか、そもそも問い合わせ自体が少ないのかによって、取るべき対策は異なります。不動産会社と密にコミュニケーションを取り、状況を正確に把握した上で対策を講じましょう。

まとめ

不動産売却にかかる平均期間は3ヶ月~6ヶ月程度ですが、マンションか戸建てか、また地域によっても異なります。首都圏のマンションであれば約3ヶ月、戸建て住宅や地方物件であれば半年以上かかることも珍しくありません。

売却期間を短縮するために押さえておきたいポイントは以下の通りです。

  • 市場相場に基づいた適正価格の設定
  • 春先や秋口など需要の高い時期を狙った売り出し
  • 信頼できる不動産会社の選定
  • 物件の魅力を最大限に引き出す準備

売却期間が長引いた場合も、焦って極端な値下げをするのではなく、原因を分析した上で柔軟に対応することが大切です。価格の見直し、内覧環境の改善、販売方法の変更など、状況に応じた適切な対策を講じましょう。

不動産売却は人生の中でも大きな決断です。十分な情報収集と準備を行い、後悔のない売却を実現してください。